不毛地帯

主題歌  坂本龍一「未定」

第17話あらすじ(ネタバレ)

石油開発に乗り出した壹岐正(唐沢寿明)と兵頭信一良(竹野内豊)は、イラン・サルベスタン鉱区の国際入札に際し、ライバルとなる他社の入札価格に関する情報を入手するために、イラン国王の側近である医師ドクター・フォルジ(アルフレド・ベナベント)に接触する。壹岐たちは、イラン前王妃と親交が深い黄紅子(天海祐希)の協力でフォルジと面会の約束を取り付けた。だが、フォルジが面会の場所に指定してきたのは、ソ連の首都モスクワだった。シベリアで11年館も過酷な抑留生活を送った壹岐にとっては、二度と足を踏み入れたくない国だった。が、覚悟を決めた壹岐は、娘の直子(多部未華子)の反対を押し切ってモスクワへと向かった。
一方、五菱商事、五井物産とともに日本石油公社グループとしてサルベスタン鉱区の国際入札に臨む東京商事の鮫島辰三(遠藤憲一)は、日本のトップ企業を集めた経済ミッションをイランに派遣し、同国政府へのアピールに成功していた。そんな折、兵頭がテヘランから姿を消しているという情報を得た鮫島は、近畿商事が何らかの行動を起こしているのではないかと不審を抱く。

谷川正治(橋爪功)は、壹岐の家を訪ねた。谷川は、ソ連に向かった父を心配する直子に、朔風会にも帰国後にソ連を訪問したメンバーが4人いる、と話す。続けて谷川は、自分たちがシベリアにいたのは20年も前のことで、今回は正式なビザを発給されているのだから心配することはない、と言って直子を安心させようとした。

壹岐たちは、ドクター・フォルジの代理人であるソ連医学アカデミーのドクター・ペトロシャンの別荘を訪れた。そこで壹岐たちは、フォルジがイラン・イスファハンの名門一族の出身であること、内乱があり、当時10歳だったフォルジの目の前で一族が殺されるという過酷な体験をしていることを知る。ほどなく、別荘にやってきたファルジと面会を果たした壹岐は、敢えてイスファハンのことを口にした。するとフォルジは、差しだそうとしていた手を引っ込めて、シベリアには何年いたのか、と返す。思い出したくない話を敢えて口にしたのは、自分がどれほどの覚悟でソ連に来たのか、わかってもらうためだった。

鮫島は、テヘランにあるホテルのメイドを買収して兵頭の部屋に侵入し、彼がモスクワに向かっていることを知る。鮫島は、義理の娘でもある直子に電話を入れると、壹岐の身に何かあったかのような口ぶりで騙し、モスクワのことを聞きだした。近畿商事側がイラン国王の側近と接触したことを確信した鮫島は、五菱商事の神尾(名高達男)や五井物産の有田(大門正明)に対して、すでに取り決めた入札価格に500万ドル上乗せすべきだと訴える。

同じころ、秋津千里(小雪)は、比叡山を訪れ、兄・清輝(佐々木蔵之介)に会っていた。千里は、日本陶芸展が終わったら、陶芸のルーツをたどるためにシルクロードに行くことを清輝に告げる。
帰国した壹岐は、社長の大門一三(原田芳雄)に、入札価格の情報と引き換えとしてフォルジから提示された条件を伝える。フォルジが望んでいるのは、アメリカ軍が所有している戦闘機F14だった。壹岐は、ニクソン米大統領と太いパイプを持つカプシ・コーラのシードル会長にその橋渡しをしてもらう約束を取り付けていた。

入札2日前、フォルジの邸宅を訪れた兵頭は、そこで1冊の詩集を手渡される。それが、処方箋なのだという。

あくる夜、近畿商事のテヘラン事務所に、フォルジから電話が入った。そこで、ゆっくりと2編の詩を読みあげるフォルジ。兵頭とともにそれを聞きながら書き留めた東山(小市慢太郎)は、詩集の中から、フォルジが読んだ詩を探した。ふたつの詩が掲載されていたのは36ページと105ページ――入札価格の最高値は、36×105で3780万ドルという意味だった。

連絡を受けた壹岐は、大門にその価格を報告した。大門は、上限として取り決めた3600万ドルを超えていることに難色を示した。壹岐は、そんな大門に、第四次中東戦争勃発の可能性があることを告げ、上限を4000万ドルまで引き上げることを了承させる。

入札当日。オリオン・オイル社のリーガン会長(チャールズ・グラバー)とともに、イラン石油公社を訪れた兵頭は、筆頭理事のドクター・キア(アハマド・アリ)に入札価格を書きこんだ書類を手渡す。近畿商事とオリオン・オイル社が提示した価格は3990万ドルだった。

帰り際、兵頭たちは、入札にやってきた鮫島ら日本石油公社グループとすれ違った。石油公社グループが、入札締め切りの5分前にやってきたことに、兵頭は不安を隠せなかった。リーガンは、そんな兵頭に、我々はやるべきことはすべてやった、と声をかけた。
あくる日、兵頭は、電話でイラン石油公社に呼び出される。リーガン会長とともにイラン石油公社に向かう兵頭。そこでドクター・キアは、近畿商事、オリオン・オイルグループが一番札であることを決定した、とふたりに告げた。リーガンと固い握手を交わし、抱き合って喜ぶ兵頭。その目には涙が滲んでいた。
その知らせは、すぐに東京本社の大門と壹岐にも伝えられた。入札価格の第2位は西ドイツのデミネックス社で3950万ドル、日本石油公社グループは3900万ドルで第3位とのことだった。

その夜、壹岐は、毎朝新聞の記者・田原秀雄(阿部サダヲ)に連絡を入れて呼び出し、イラン・サルベスタン鉱区を落札したと報告する。田原は席を立つと、猛然と走りだした。

あくる日、毎朝新聞の一面には、近畿商事の快挙を伝える記事が掲載された。谷川も、千里も、その記事を読んで安堵の表情を浮かべていた。

壹岐は、大門とともに、日本石油公社を訪ね、貝塚に今後の支援を願い出た。だが、貝塚は、すでに総裁更迭の内示を受けていた。

帰社した大門と壹岐は、集まっていた新聞記者たちに囲まれた。遠くからその姿を見つめていたのは小出宏(松重豊)だった。近畿商事を後にした小出は、路地裏のゴミ捨て場で狂ったように暴れると、そのまま倒れこんだ。

その夜、壹岐は、直子のもとを訪れる。そこで直子は、鮫島からの電話の件を壹岐に話した。するとそこに、いきなり鮫島が現れる。鮫島は、少しも悪びれたようすもなく勝手に家の中に入っていくと、これからは公私ともども壹岐と付き合わせてもらう、と言い出す。日本石油公社の山下新総裁が近畿商事支援を決めたことを受け、東京商事もサルベスタン鉱区の採掘に資本参加するつもりだというのだ。
別の日、壹岐たちはイラン側との調印式に向かうため、羽田空港に向かった。そこで千里の姿を見かけた壹岐は、彼女がシルクロードに行くことを知る。壹岐は、そんな千里にマンションの鍵を手渡し、帰国したらまっすぐに来てくれ、と告げる。

自由党の田淵幹事長(江守徹)は、友人でもある国際ロビイスト・竹中莞爾(清水紘冶)と能を楽しんでいた。竹中は、近畿商事がサルベスタン鉱区を落札したことで、日本石油公社をバックアップしていた佐橋から、田淵に総理大臣の座が渡る日も近いと見ていた。「それにしても、あの壹岐正は、面白そうな男だな。長い付き合いになりそうだ」。田淵は、そうつぶやいた。

テヘランを訪れた壹岐たちは、無事、調印式を済ませた。「サルベスタンは、壹岐正とって、第二のシベリアになるだろう」とドクター・フォルジは予言した。その言葉通り、石油ビジネスにおける本当の戦いはこれからだった…。
(公式サイトより引用)

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出演者 キャスト

壹岐正   唐沢寿明
壹岐佳子  和久井映見
壹岐直子  多部未華子
壹岐誠   高橋平
川又伊佐雄 柳葉敏郎
貝塚道生  段田安則
芦田国雄  古田新太
久松清蔵  伊東四朗
田原秀雄  阿部サダヲ
浜中紅子  天海祐希
鮫島辰三  遠藤憲一
谷川正治  橋爪功
竹村勝   中丸新将
秋津紀武  中村敦夫
秋津清輝  佐々木蔵之介
秋津千里  小雪
大門一三  原田芳雄
里井達也  岸部一徳
兵頭信一良 竹野内豊
松本晴彦  斉木しげる
小出宏   松重豊
海部要   梶原善
塙四郎   袴田吉彦

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