不毛地帯

主題歌  坂本龍一「未定」

第16話あらすじ(ネタバレ)

石油開発に乗り出した壹岐正(唐沢寿明)と兵頭信一良(竹野内豊)は、イラン・サルベスタン鉱区の国際入札に際し、商社連合の日本石油公社グループから離脱し、米独立系石油会社オリオン・オイルと組むことを決意する。
社長の大門一三(原田芳雄)は、反対派だった副社長の里井達也(岸部一徳)を関連会社に出向させた。壹岐の要望を受けての決断だった。さらに壹岐は、大門とともに自由党幹事長の田淵(江守徹)を訪ね、近畿商事の後ろ盾になってもらいたいと依頼した。石油利権を握る政治家たちと組んでいる日本石油公社総裁の貝塚道生(段田安則)や東京商事の鮫島辰三(遠藤憲一)らによる妨害工作に対抗するためだった。
ところがその矢先、近畿商事がオリオン・オイル社と組んで国際入札に参加すること批判する記事が新聞各紙に掲載される。日本石油公社グループからの離脱は国益を無視した行為だというのだ。それを受け、貝塚は、近畿商事の行動は利益を独占しようというものであり極めて遺憾だとのコメントを発表する。

一方、兵頭は、近畿商事テヘラン事務所を拠点に、国際入札の決定権を持つイラン国王とその周辺の人物に関する情報収集を続けていた。国王の決断に影響力を持つ側近とコンタクトを取り、各国の入札価格等の情報を得ることが最重要任務だった。

近畿商事への非難が高まる中、取引先からのは、オリオン・オイルと組むなら今後の取引を白紙に戻すという電話が相次いだ。壹岐は、オリオン・オイルとの入札が事実だと認めた上で、今回の決断はあくまでも日本石油公社グループが入札できなかった場合の安全弁だと取引先に説明するよう社内各所に指示する。

そんな折、壹岐の前に、元近畿商事社員の小出宏(松重豊)が現れる。小出は、壹岐の部下として自衛隊の2次防FX受注に関わり、機密漏えいの疑いで逮捕された後、千代田自動車が開発を進めていた新車115タイガーの情報を買い取いとってもらうための仲介をしてほしいと接近してくるなど、壹岐にとって何かと因縁のある相手だった。小出は、壹岐のことが心配で訪ねてきたとうそぶくと、近畿商事が日本石油公社グループに戻れるよう仲介してくれる人物が待っている、と告げる。その相手とは、大物総会屋の林田正道(梅野泰靖)だった。

林田の屋敷を訪れた壹岐は、オリオン・オイルと組んだのは国益を考えた上でのことだと説明した。それに対して林田は、佐橋総理は自分の友人だから石油公社グループに戻れるよう力になりたいと告げた。しかし壹岐は、その申し出を受けようとはしなかった。

近畿商事への圧力はさらに強まっていった。シンジケート・ローン認可の保留、近畿商事が輸入している豚肉に対する関税法違反の疑い、マニラの肥料工場に対する許可の取り消しなど、関係省庁がさまざまな形で近畿商事にプレッシャーをかけてきたのだ。さらに、壹岐がソ連と密接な関係にあるとする怪文書まで出回っていた。

大門のもとに最後の挨拶にやってきた里井は、近畿商事に対する一連の動きは壹岐の暴走が招いた結果だと言い放つ。そして里井は、いまに壹岐が大門を追い落とすことになる、と忠告し、近畿商事を去っていく。
壹岐は、京都に向かった。韓国・光星物産の会長を務める李錫源(榎木孝明)から、京都にいるから会えないかと電話があったのだ。
壹岐は、李に会う前に、秋津千里(小雪)の兄で、比叡山で修業をしている清輝(佐々木蔵之介)を訪ねる。その静かな雰囲気に、久しぶりに心の安らぎを感じた壹岐は、このような世界で生きることができたらと思うが、自分はこれからも汚れきった世界で生きて行くしかない、と清輝に言った。清輝は、そんな壹岐に、『世間の法に染まらざること、蓮華の水にあるが如し』という法華経の教えを話す。「蓮が、泥沼の中にあっても美しい花を咲かせるように、人は汚れた俗世間を生きていても、それに染まらず、清廉な生き方を貫くことができる、という意味です」。清輝は、そう壹岐に告げた。

その夜、壹岐は、李と食事を共にする。壹岐が、国際入札の件でバッシングを受けていることを知る李は、ある情報を壹岐に伝えた。それは、イラン国王に最も影響力を持つと思われる、ひとりの医師のことだった。李は、駐米大使をしているときに、イラン国王の側に、影のようにぴったりとついていたその男を見たことがあるのだという。しかもその男は、重要な席には必ず同席するのに、一般的なパーティーの席には決して顔を出さないというのだ。

李と別れた壹岐は、千里の家を訪ねた。そこで壹岐は、清輝に会ってきたことを伝えると、千里の仕事が落ち着いたら、直子(多部未華子)の家族と一緒に食事をしよう、と彼女に告げた。

東京に戻った壹岐は、毎朝新聞の記者・田原秀雄(阿部サダヲ)から取材を申し込まれる。田原は、近畿商事に対するバッシング記事には関与せず、壹岐の本当の狙いを追い求めていた。壹岐は、今回の入札は日本石油公社グループが落札できなかった場合の安全弁であることを田原に説明した。田原から、もし近畿商事とオリオン・オイルが一番札をとり、二番札が日本石油公社グループだったらどうするつもりなのか、と問われた壹岐は、公社グループに譲る、と返答した。
やがて、李が言っていたイラン国王の側近はドクター・フォルジという男であることが判明する。兵頭からの情報で、ドクター・フォルジはイラン前王妃からも信頼されていると知った壹岐は、黄紅子(天海祐希)の言葉を思い出す。紅子は、友人であるイラン前王妃から、近畿商事がどういう会社か尋ねられたと言っていたのだ。

紅子が帰国中だと知った壹岐は、クラブ『ル・ボア』で彼女に会った。そこで壹岐は、近畿商事とドクター・フォルジの仲介をしてもらえるよう、イラン前王妃に頼んでほしい、と紅子に依頼する。紅子は、それを了承すると、その前王妃も出資者に名を連ねるスイスの観光事業を近畿商事の海外支店にバックアップしてもらいたい、と壹岐に頼んだ。

同じころ、鮫島は、五菱商事専務の神尾(名高達男)から、サルベスタン鉱区に関する各社の入札予想価格を手に入れる。それによれば、1位は西ドイツのデミネックス社で、2位が日本石油公社グループ、近畿商事・オリオン・オイルは3位だった。今回の一番札は、入札価格が一番高いだけでなく、イランに対する経済協力も考慮される。鮫島は、確実にサルベスタン鉱区を落札するために、佐橋総理に会ってほしい、と神尾に頼んだ。大企業のトップを集めた経済ミッションをイランに派遣するためだった。

数日後、兵頭はベイルートで紅子と合流し、イラン前王妃からドクター・フォルジに宛てた親書を受け取る。紅子によれば、フォルジは火曜日の夜だけ王宮を出て家で過ごすのだという。それを聞いた兵頭は、ただちにテヘランに向かい、フォルジの家を訪れた。
兵頭は、顔を出した執事に親書を見せ、フォルジに会いたいと告げた。しかし、フォルジは誰にも会わないという。諦めきれない兵頭は、家の中に聞こえるように、石油開発への思いを叫んだ。

入札まであと10日。近畿商事テヘラン事務所にも、日本石油公社グループが経済ミッションを送り込むとの情報が伝わった。焦りを隠せない兵頭。するとそこに、オリオン・オイル社からの封筒が届く。が、その中に入っていたのは、座席指定のある映画のチケット1枚だけだった。それを見た兵頭は、何かを感じ、映画館へと向かった。

兵頭が指定された席に座ると、そこに売り子がやってきた。仕方なく、新聞紙を折った袋に入っている向日葵の種を買う兵頭。ほどなく、映画が始まった。すると、突然後ろの席から「向日葵の種は嫌いか?」と男が話しかけてきた。フォルジの執事だった。執事は、フォルジが会ってもいいと言っているが条件がある、といって、兵頭が手にしている向日葵の種を指差した。
緊急帰国した兵頭は、フォルジが会ってくれることになった、と壹岐に伝えた。フォルジが出した条件とは、石油開発プロジェクトのトップである壹岐を連れてモスクワに来ることだった。向日葵の種が入っていた新聞紙には、イラン国王のモスクワ訪問日程が掲載されていたのだ。だが、モスクワという言葉を聞いた壹岐は顔をこわばらせた。壹岐の脳裏に、シベリア抑留の悪夢がよみがえった。
壹岐は、モスクワには行かない、というと、別の手段を考えようと兵頭に告げた。そんな壹岐の態度に納得がいかず、日ごろから口にしている国益とは随分ご都合主義だ、などとかみつく兵頭。激高した壹岐は、極北の流刑地で、囚人番号を押されて重労働を強いられた人間の気持ちがわかるのか、と叫んだ。

ひと晩考え込んでいた壹岐は、翌朝、谷川正治(橋爪功)のもとを訪ねる。そこで壹岐は、モスクワに行くことになったと谷川に告げた。谷川は、日本のためになると信じたのならどんな困難があってもやり抜くことだと壹岐に言葉をかけた。続けて谷川は、例えビザが発給されてもシベリア抑留者だった壹岐には監視がつくであろうとことを予見し、身辺には注意を払うよう助言した。

マンションに戻った壹岐は、直子にもモスクワ行きを打ち明ける。直子は、もしものことがあったらどうするのか、と猛反対した。壹岐は、そんな直子をなだめると、モスクワ行きのことは夫の倫敦(石田卓也)にも言わないよう念を押した。

鮫島たちが経済ミッションの一団を連れてイランを訪問しているころ、壹岐と兵頭は、モスクワに向かって旅立ち…。
(公式サイトより引用)

DVD-BOX、関連商品

出演者 キャスト

壹岐正   唐沢寿明
壹岐佳子  和久井映見
壹岐直子  多部未華子
壹岐誠   高橋平
川又伊佐雄 柳葉敏郎
貝塚道生  段田安則
芦田国雄  古田新太
久松清蔵  伊東四朗
田原秀雄  阿部サダヲ
浜中紅子  天海祐希
鮫島辰三  遠藤憲一
谷川正治  橋爪功
竹村勝   中丸新将
秋津紀武  中村敦夫
秋津清輝  佐々木蔵之介
秋津千里  小雪
大門一三  原田芳雄
里井達也  岸部一徳
兵頭信一良 竹野内豊
松本晴彦  斉木しげる
小出宏   松重豊
海部要   梶原善
塙四郎   袴田吉彦

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